『新世紀エヴァンゲリオン』のリメイク作品である、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』。
これまで「:序」「:破」「:Q」と続いており、2020年6月には待望の4作品目『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』公開される予定でした。
しかし残念なことに、コロナウイルスによる映画公開自粛の流れによって、当初予定されていた4作品目の公開は延期されることになりました。
しかし新たに4作品目で公開された情報もあります。
- 4作品目タイトルは『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』「3.0+1.0」
- 副題は「FINAL」から「THRICE UPON A TIME」と変更された
では新たな情報として追加された「THRICE UPON A TIME」とはどのような意味をもつのでしょうか。
シン・エヴァンゲリオン劇場版の公開日は2021年1月23日と公式に発表されています。
が、さらに延期となりました。。【追追記】
2021年3月8日、ようやく公開となりました。長かったですね。
「THRICE UPON A TIME」とは、どのような意味を持つのか
個人的な考察になりますが、今回のサブタイトルはSF小説原題から拝借されたものではと思います。
「THRICE UPON A TIME」とは、「未来からのホットライン」というSF小説の原題でもあります。
原作者はジェイムス・P・ホーガンで1983年に文庫化されています。
参考:未来からのホットライン (創元推理文庫) [ ジェームズ・P.ホーガン ]
エヴァンゲリオンシリーズではこれまでにも、SF小説を最終話のタイトルに設定しているケースが見られています。
旧劇場版『REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH (TRUE)2 / Air / まごころを、君に
「まごころを、君に」は1968年のアメリカ映画「まごころを君に」がモチーフです。
この原作はダニエル・キイスがSF小説として書いた「アルジャーノンに花束を(邦題)」として知られています。
参考:アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫) [ ダニエル・キイス ]
テレビ版「新世紀エヴァンゲリオン」最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」
「世界の中心でアイを叫んだけもの」は1979年ハーラン・エリスンによって書かれたSF小説「世界の中心で愛を叫んだけもの」として有名です。
副題(サブタイトル)と内容のリンクはあるのか
「FINAL」として銘打たれていた新劇場ヱヴァンゲリヲン4作品目がSF小説のタイトル名に変更されるのは、今までの例からも不思議ではありません。
では、副題の小説や映画の内容と、実際のエヴァンゲリオンの作品内容はリンクしているのでしょうか。
旧劇場版の場合、「まごころを君に」の内容とエヴァの内容はそれほど類似していません。
「まごころを君に」は、知恵遅れのチャーリーという男性が脳外科手術を受け、天才的頭脳を手に入れるストーリーです。
最終的には加速度的に以前の知能に戻ってしまい、新たな幸せを見出すという内容となっています。
旧劇場版のストーリーは、サードインパクトが引き起こされたものの、シンジが「他人のいる世界」を望んだため、ひとつの「生命のスープ」となった魂が再び他人として還ります。
生き延びたアスカという絶対的な他人とシンジは、相容れないもののこの世界で生きていくというストーリーで終わりです。
テレビ版の最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」は、SF小説「世界の中心で愛を叫んだけもの」とはタイトルのみリンクしています。
内容はやはり若干異なると言えます。
テレビ版の最終話は、シンジがあらゆる人間関係と自己に葛藤した結果、自分=アイ、Iを見出すことが出来るかもしれないという希望を提示して終了しています。
ここはタイトルのみのアイ=I=愛と考えられます。
SF小説の「世界の中心で愛を叫んだけもの」は内容が難解です。
7つの頭を持つ竜が狂気として世界に分割された結果、ひとりの善人と悪人が生まれます。
そして悪人である人間は最後に「おれは世界中のみんなを愛している」と死刑前に叫ぶのです。
7つの頭、つまり「7つの大罪」を意味していると言われています。
世界を肯定している、という点においてはある程度リンクしているかもしれませんが、同じ内容かと言われると首をかしげてしまうでしょう。
「未来からのホットライン」とはどのような内容か
SF小説「未来からのホットライン」は、タイムトラベル作品です。
あるノーベル賞受賞科学者が発明したタイムマシンは、やがて世界を巻き込むことになります。
この作品では「直列宇宙」、つまり時間軸は1本しかないという考えのもとでタイムトラベルを決行したものの、メッセージが届かず実は宇宙は「並行宇宙」であったことが明かされます。
つまり行動によって時間軸が何本も発生し、結果が違う未来が発生するということです。
パラレルワールドが発生しては消失する、ということです。(補記:「シュタインズ:ゲート」というアニメが参考になります)
最終的にはタイムトラベルによって時間軸を改変、めちゃくちゃにしたあとに何とか元の時間に戻すというかたちで終了します。
4作品目『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のあらすじを予想
すでに新劇場版の世界はループしているのではないか、という説が出ていますので、ループ問題について何らかの回答が得られるのではないかと予想しています。
今回の表題は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』です。
それまでの新劇場版作品は、「新劇場版ヱヴァンゲリヲン」と旧字表記でした。
つまり、以前の「エヴァンゲリオン」作品に回帰しているのです。
またDOとNOTでのルート分岐説もありますので、「シンジが決断をした場合」「そうでない場合」によってのルートがあった…という線も決着がつけられるでしょう。
もちろん「:||」は楽譜記号の「リピート」を意味していると考えられます。
閉じた世界でエヴァは今まで序、破、Q(急?)と繰り返してきた。
そして今回はその最終地点に辿り着く。
その結果また、生命が誕生し元の地球に戻る……。
という流れになるのではないでしょうか。
個人的な懸念事項
時間軸リピート、ルート分岐などの説が終了する、というのが4作目ではないかと考えられますが、庵野秀明監督がこれまで作品を制作するにあたって、その時の気風や文化に影響されることもあり得ると個人的には考えます。
つまり、このコロナウイルスの流行によって再度4作目が全く違うものに書き換わる可能性があるというわけです。
その場合4作目は公開延期、さらなる新作構想と制作のために果てしない時間を再び消耗する可能性もあるでしょう。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の公開はいつ?
シン・エヴァンゲリオン劇場版の公開日は2021年1月23日と公式に発表されています。
現在は全ての映画が公開延期。
シン・エヴァンゲリオン劇場版の公開日はいつになるのでしょうか?
これは難しい問題です。
個人的には「コロナウイルス終息後」と考えています。
エヴァンゲリオンの最終作となるのであれば、相応の動員数が見込まれます。
それは、観客側の安全を完全に確保した上でなければ、公開は難しいでしょう。
そのため、現在の「緊急事態宣言」後に、コロナウイルスが日本で終息し、混雑時でも病気に感染しなくなった時期が公開に相応しいと考えます。
ということで年内は難しいのではないでしょうか。
「それならばサブスクで公開を」という声も起こるかもしれません。
これについては監督の判断となりますが、劇場版では「劇場で見るため」作品を作るというのが映画の基本スタイルです。
もしサブスク前提であれば、最初から「テレビサイズ」での画を考えるのではないでしょうか。
また、劇場版を公開したあとには必ず、補正や描きなおし部分を含めてDVDやブルーレイを発売しています。
必ずバージョンはアップデートされたあと、リリースされているので、やはり劇場版が先になるのと考えます。
公開はかなり先、2021年以降になるのではないかと個人的には予想しています。
感想【エヴァンゲリオンだからいつまでも待てる】
もはや延期や公開日が変更となることは、エヴァをテレビ版から見てきたファンであればよくあること、と割り切っているでしょう。
新劇場版では、「あのエヴァがまた見られる!」とファンは大喜び。
そして見事にその期待に応じてくれた庵野監督。
以前としてエヴァンゲリオン人気は衰えず、派生作品も多いので熱はまだ残っています。
庵野監督自身はおそらくこのエヴァンゲリオンシリーズからは手を引きたいと考えている可能性がありますが(途中で『シン・コジラ』などを作っていますし)、まだまだ4作目の公開までは頑張ってほしい、というのが正直な気持ちです。