ビッグコミックスピリッツ系雑誌で連載された、林田球・作「ドロヘドロ」15巻のネタバレと感想の紹介です。
トカゲ頭の主人公カイマンが自分の本当の姿を探すために旅をするダークファンタジーとして知られています。
個性的な登場人物、そして複雑な世界設定が人気です。
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ドロヘドロ【15巻】のあらすじとネタバレ。十字目ボスの秘密とは?
パイとなったボスを元に戻した十字目幹部たち。
しかしボスだと思ったそれは、なんと会川でした!
謎の多い会川を拘束する十字目幹部。
さらに「魔法使いの世界には雨が降らない」という常識が覆され、魔法使いたちは全員ホールへの移動を余儀なくされます。
十字目ボス、パイ化から戻る
レストラン丹波からパイ化したボスを回収し、屋敷に戻った十字目幹部たち。
物品管理担当の佐治まで半分パイ化してしまい、修復ケムリの保存先が不明となります。
そこで見つかったのが、「鳥太のケムリ」。
鳥太のケムリで無事佐治を回復させた幹部たちは、ようやくボスを元の姿に戻すことに成功しました。
ところがパイから戻ったボスの目には十字目がありません!
毒蛾はいち早く彼が会川であると気がつきます。会川は自分を復活させた幹部たちを恨みます。
そのまま出ていこうとした会川を、毒蛾は拘束します。
とにかく会川の正体を見極める必要があると毒蛾は考えたのです。
会川の苦悩、そしてアイへの変身
煙の屋敷に辿り着いたカスカベ博士とジョンソンは、以前自分たちが捕まっていた部屋を探しに行きます。
たどりついたその部屋には、会川が拘束されていました。
カスカベ博士とジョンソンは彼の拘束を解きます。
カスカベ博士は会川の顔を見て確信し、「君はアイくんなんだろ? アイ=コールマン」と懐かしく呼びかけます。
その名前は会川に凄まじい苦痛をもたらしました。
会川の中でアイ少年がこちらを見つめ、にらみつけます。
途端に会川は黒いドロと血液を吐き出し、その首は溶けだしてしまいました。
恐ろしい事に、すでに新しい首が生え変わっています。
その首はカスカベ博士が数年前、アイの遺体を引き取ったときに見たものと全く同じものでした。
すでに顔の表面は剥がれ落ち、腐った頭部となった「アイ」は、そのまま這うようにして部屋を出ていきます。
這い出た先には扉がありました。
カスカベ博士とジョンソンがその扉を強引に開きます。
そこは「十字目ボスの部屋」でした。
壁一面に魔法使いの首が埋められ、その頭部は全て穴があけられています。
その膨大な数にカスカベ博士は大興奮し、アイが何を作ろうとしているのかを確かめようとします。
十字目ボスの作りし物
「十字目ボスの部屋」最奥には、奇妙な物体がありました。
それは魔法使いの皮と臓器を縫い合わせ、さらにあらゆる部分に管が刺されており、悪魔腫瘍から採取される黒い粉が常に供給されています。
カスカベ博士はアイの拘束を完全に解除しようとします。
彼の好奇心はすでに抑えられない状態だったのです。
カスカベ博士はアイに問いかけます。
アイ君は何をしようとしているんだ?
そして博士自身、何でもすると誓うのです。
その瞬間、アイはカスカベ博士とジョンソンに襲いかかりました。
0日前。
アイであった肉体は、再び会川へと変貌します。
自分の仕業に恐怖を感じた会川はその場から逃げ出そうと考えます。
しかしその時、入り口の方向から毒蛾と鉄条の声が聞こえたため、会川はとっさに身を隠しました。
鉄条はニカイドウのケムリが大量発生した跡地をくまなく調べていたのです。
跡地からは壊れた悪魔合格証明書が見つかりました。
近隣の住人からは、川尻という魔法使いと女、そして大男がしばらくの間そこで生活していたという証言を得ます。
会川がいなくなったことに気づいた豚がふたりを呼んだため、ボスの部屋には会川だけが取り残されました。
会川はとっさに、今の話が栗鼠と彼を託したふたりのことだと理解します。
会川はナイフを手に取ると、自分の首に深く突き刺します。
会川の考えた自分の役目、それはこれ以上この身体に悪さをさせないことだったのです。
会川のマスクは溶けだし、精神は会川のものとアイのものが混在していました。
アイは自分がいかに魔法使いになりたかったかを思い出します。
そして、魔法使いになるための手術のことも。
遠くからこの様子を見ていた悪魔・チダルマはにやりと笑いました。
「とーとー、始まるぜ」
十字目幹部たち、ホールへ向かう
突然、魔法使いの世界に雨が降り始めます!
雨は魔法使いの大敵です。
幹部たちは慌てて屋敷内に戻り、会川探しのために外に出ていた他の幹部たちと毒蛾たちが合流します。
ボスの部屋の壁が破壊されていることに気づいた彼らは、部屋の中をくまなく探し始めます。
すると大量の首の中に、ボスの首が混ざっていることに気づきました。
とっさにボスの首を取り上げる毒蛾ですが、目に十字目の印がないことから、これは会川であると気づきます。
さらにその首は他の複数の首と繋がっており、無数の首がボスの体を構成していました。
肉体は立ち上がり、会川の目元に十字が浮かびます。
すると奥に吊るされていた魔法使いたちの肉の皮が浮かび、ボスの体をくるみました。
さらに首をも覆い隠し、魔法使いの皮とボスの肉体は一体化し始めます。
そうしで出来上がったのは、グチャグチャと音をたてる謎の十字目生命体でした。
あらゆる管とパイプが刺され、たくさんのマスクに覆われたその体はクリーチャーそのものです。
あぜんとする十字目幹部たちですが、この生命体がボスであることに変わりはなく、なにを望んでいるのかを必死に読み取ろうとします。
十字目の生命体はドアを出し、その体をドアにおしつけました。
毒蛾はこの行動から、ボスはホールに行きたがっていると判断します。
彼らはボスを誘導し、より広いドアのある煙屋敷のドアからホールに向かいました。
煙ファミリー、ホールへ向かう
雨に困っているのは、煙ファミリーも同じです。
地下のアジトは水没し、魔法使いたちは頭痛を抱え困惑してしまいました。
半分だけ人間の心は、雨にも多少耐性があります。
心はそこで、雨をしのぐために一度ホールへ移動することを提案しました。
心の誘導で、ファミリー全員はホールへ移動します。
ニカイドウ達、ホールへ向かう
家を失ったアスとニカイドウ達は、アスの友人の宿に滞在していました。
栗鼠の話によると、十字目たちは魔法使い狩りに精を出し、さらに大爆発を起こした魔法使いを探していると言います。
十字目にも狙われてしまったニカイドウ。
しかしそこで、栗鼠は思い切った提案をします。
栗鼠は自分の過去を知るために、ニカイドウにホールに自分を連れていってほしいと頼んだのです。
ホールに行き、さらにニカイドウの魔法を使えば栗鼠を直接殺した犯人がわかるはずです。
ニカイドウは快諾し、3人はホールへ向かうことになりました。
ハルたち悪魔、実はいろいろ知っている?
アイに攻撃され、虫の息となったカスカベ博士とジョンソンを見守るハル。
ハルはあれには近づいてはならんのだ……とつぶやきます。
そしてカスカベ博士に、研究を全て忘れ見たものを忘れるなら、ホールに連れて帰ってやろうと提案します。
しかし、博士はそれを拒みました。
さらに十字目生命体の完成を、モニター越しに監視している存在もいたのです。
悪魔・チダルマでした。
チダルマはこの生命体の誕生を喜び、何十年かぶりの「トキメキ」を感じます。
悪魔はあと「何日」で、十字目生命体が誕生することを知っていたのです。
十字目幹部のホール行きを見た男
突然の雨に苦しんでいたのは、十字目組織の末端の人間も同じです。
八坂という男は、簡単に黒い粉を手に入れ楽な生活を送る予定だったのに、アテが外れたと悔しがります。
そんな彼は道端に、黒いススが落ちているのを発見します。
舐めてみるとそれは、間違いなく「黒い粉」でした。八坂は他の仲間から抜け、黒いススを追いかけます。
八坂の先には謎の物質がチューブから黒い粉をボロボロと落としながら、幹部とともにホールに向かう様子が見えました。
八坂は黒い粉を幹部が独り占めしようとしていると考え、ここからどうするかを悩みます。
ニカイドウ達、「空腹虫」へ。そしてついに過去へ向かう
ホールに辿り着いたニカイドウ達は、過去へ行く前にニカイドウのリクエストで、キューブの中身を調べることにします。
そのためにアジトとして「空腹虫」に訪れ、ランチャー形式になったキューブの中身を調べました。
すると中には大きな弾薬が入っていることがわかりました。
弾薬の1つにはすでにひびが入っていたものがあり、その場であっさり壊れてしまいます。
ニカイドウは、恐らくすでに八雲を助けるため、1度魔法を使ったからではと推測しました。
ニカイドウの魔法が使えるのは、残りの弾数からあと4回であることが判明します。
その4回を自分のために使わせるのは申し訳ないと、栗鼠は過去へ行く事を遠慮しはじめました。
アスはここで、栗鼠に真実を話したほうが良いとニカイドウに提案します。
ニカイドウは栗鼠に、実はカイマンの顔はすでに治っていたと初めて栗鼠に明かします。
そして、その顔は会川のものだったことも伝えます。
カイマンが自分を殺したと思っていた栗鼠は、困惑しそのまま「空腹虫」を出ていってしまいます。
会川が自分を殺したのか?
近づいた真相に戸惑う栗鼠は、ちょうどホールの人間に絡まれます。
魔法使いを憎む人間は、栗鼠に殺意を向けたのです。
すると栗鼠の中の「カース」が発動!人間の殺意を返し、手に欠けようとします。
その時、アスとニカイドウが止めに入りました。
そして栗鼠に、一緒に過去へ向かうよう呼び掛け、15巻は終了します。
感想。人工悪魔壊の見た目がヤバい!
十字目のボスは魔法使いの頭と身体を使って、恐ろしい実験をしていました。
多くの悪魔腫瘍と臓器、皮膚を使って更なる強化を目指していたのです。
この研究を見て大抵の人はぞっとしてしまいますが、カスカベ博士は魔法使いの生態に異常な興味を持つマッドサイエンティストです。
むしろこの実験の行きつく果てを見ようと、アイに手伝わせてほしいとまで言い出します。
よく考えてみると、心を治したりアイを魔法使いに手術したり、とカスカベ博士はいろいろなことをやっているわけでして……。
なかなか愛らしい先生ですが、ほぼ「ドロヘドロ」の戦犯と言える存在でもあります。
このクリーチャーは正式名称がないのですが、一応「ドロヘドロオールスター名鑑完全版」では「人工悪魔壊」と掲載されています。
今後はこの生き物が中心となって大変なこととなっていきますので、楽しみにしていてほしいところです。
グチャとしか話せなかったり、自分より小さいドアに入ろうとしたりマヌケさもあるあたりが「ドロヘドロ」らしいと思います。
久々に「空腹虫」に帰ってきたニカイドウですが、実は室内が煙に襲われた時のままなので、ジョンソンのケーキなどが腐っています。
そんな中でも魔法を調べる余裕のあるニカイドウ……やはり底知れない魔法使いです。
アスは栗鼠がたびたび反抗的な態度を取る時に「この私のようなエリート魔法使いが…」とナチュラルに人を見下します。
アスは優しいのですが、悪魔のときの癖でこれが自然になっているそうです。
まあこの漫画ですから、まともな人は少なくて仕方ないと思います。