今回触れていくのは、AKIRAの結末とネタバレについてです。
この作品が東京オリンピック中止を予言していたのではないか?との声もあり話題になっていますね。
AKIRAはコミックス全6巻で、劇場版は4巻までの内容を改変して作られています。
映画は作者・大友克洋自身が行い、総セル画数約15万枚という枚数を使って制作されたため、動きが滑らかで緻密、高品質な作品として世界で知られています。
劇場版「AKIRA」のあらすじ
【超能力を手にした人類は幸福になれるか?SFアクション金字塔!】
1982年、「新型爆弾」が東京を破壊。第三次世界大戦が広がり、東京は壊滅します。
時は流れ2019年、東京湾にはネオ東京が造られ、戦争は過去のものになりつつありました。
2020年には復興のシンボルとしてオリンピックが開催される予定です。
不良バイクチームのリーダー・金田はちょうど爆心地とその付近の旧市街を仲間と共に走っていました。
そんな時、突如闇の中に子どもが現れ、メンバーのひとり・鉄雄が事故を起こします。
金田は少年を捕まえようとしますが、こちらを振り向いた少年の顔を見て唖然とします。
その少年の表情は子どものままでしたが、顔には年寄りのようなシワが刻まれていたのです。
金田を見つめたまま、少年は闇の中に消えてしまいます。
負傷した鉄雄は何故か軍の病院に引き取られ、金田たちも軍で簡単な尋問を行われたあとに解放されます。
鉄雄はそのまま軍で謎の手術を受けていました。
鉄雄は頭の中に声を聞きます。「ア・キ・ラ」と……。
アキラとは何か。
老人のような子どもの秘密とは何か。
そして変貌する鉄雄と、鉄雄の暴走を止める金田の戦いが今、オリンピック会場で行われます。
映画版「AKIRA」の結末【ネタバレ】
コミックスが4巻までしか完成していないときに映画が作られたので、コミックとは異なる終わり方をしていますが、主張などは似通っている部分が見られます。
まず、金田の親友である鉄雄は軍の手術と投薬実験により、超能力を手にします。
政府の実験での超能力開発者を「ナンバーズ」と呼び、鉄雄はその「41号」となったのです。
鉄雄の力は災いを招く、と未来を予見した「ナンバーズ」キヨコ(25号)は、タカシ(26号)とマサル(27号)と力を合わせ、鉄雄に立ち向かいますが、鉄雄の力の前に敗北します。
そこで3人が考えたのが、アキラ(28号)を呼び覚ますことでした。
鉄雄は先にアキラの秘密を探るべく、爆心地に向かいます。
地下に保存されていたアキラの冷凍保存器を鉄雄は引きずり出し、破壊。
アキラの正体を暴きます。
アキラの正体、それはあらゆる器官を細分化され、解剖された人体標本でした。
アキラはすでに死んでいたのです。
鉄雄のエネルギーはより巨大な器を求め、鉄雄自身の内部には収まらなくなっていました。
鉄雄自身の力は、制御が効かなくなります。
金田は増長した鉄雄にとどめを刺しに、スタジアムを訪れますが、そこで見たものは全身が巨大化し、膨れ上がった鉄雄の姿でした。
鉄雄の力はもはや制御できず、恋人カオリはその体に取り込まれ押しつぶされてしまいました。
金田もまた、鉄雄の肉体に飲まれます。
そこに登場したのが、ナンバーズの3人です。
3人はアキラに祈り、アキラに鉄雄を「連れていって」もらおうとします。
願いは通じ、ホルマリン漬けのアキラの肉体が復活、再び第3次世界大戦の新型爆弾と同じ光が鉄雄を包み込みます。
光に巻き込まれた金田は、鉄雄の誕生の記憶を見ます。
そして、人の進化の行き先で、必ずいつかこの力を獲得するだろう、とナンバーズの3人から予言を受けるのです。
鉄雄の記憶内に取り残されそうになる金田は、ヒロインであるケイの呼ぶ声で目覚めます。
巨大なアキラの光は、鉄雄を連れ去り再び恐ろしい力で街を破壊して、立ち去りました。
ナンバーズ3人の力と、ケイの呼ぶ声で光の中から奇跡的に生き延びた金田は、収縮した光の最後欠片を握りしめ鉄雄を思います。
そして新たな未来のために、ケイとバイク仲間・甲斐とともに立ち去ったのでした。
東京オリンピック中止の予言!?はされていたのか
「AKIRA」本編の連載は1980年代です。
2020年は近未来としてちょうど良い設定だったと思われます。
そのため、オリンピックが2020年の東京で行われるという設定が実現してしまったわけですが、おそらく予言の類ではなかったと思われます。
しかし、皮肉にも「新型爆弾の被害からの復興」として開催されるという劇中の2020年東京オリンピックと、「東日本大震災からの復興」として開催される、実際の2020年東京オリンピックは、形式が似てしまいました。
そのため一部では予言ではないかとされています。
より細かいことを言えば、東京は現在の姿を捨て、東京湾に都市を開拓し「ネオ東京」でなければ正しく成立していない…とも言えます。
これはおそらく奇妙な形で成立してしまった「偶然」であると個人的には考えています。
東京オリンピック中止を予言?
まずこの根拠ですが、劇場版「AKIRA」の看板に「東京オリンピック開催まであと『147』日」と書かれた看板が表示されます。
その下には「中止だ中止」と落書きがされているのです。
これを「オリンピック中止の予言」とみるかどうかですが、個人的には偶然だと考えます。
まず、「AKIRA」の世界は基本的に荒廃しており、看板は旧市街に建てられたものです。
劇場版「AKIRA」の金田たちが通う職業訓練校のシーンからもわかる通り、銅像には落書きがされ、頭にはブラが下げられるなど不良が大手を振っているというのが、「AKIRA」の世界とも言えます。
つまり、看板の落書きなんぞ当たり前!という世界なのです。
しかも2020年オリンピック会場は爆心地がスタジアムですから、金田たちのような不良バイクチームの恰好の遊び場です。
さらに金田たちは「健康優良不良少年」というチーム。
しかし他にも不良チームは存在し、鉄雄は「クラウン」という敵対バイクチームのリーダーになったりします。
つまり不良だらけなのです。
そんな不良が大勢いる場所に建てられた看板ですから、ネガティブなことが書かれていても不思議はないと思われます。
コロナパニックを予言していた!?
これも原作の方ですが、アキラがネオ東京を破壊させたあと、当然生き残った人々はパニックに陥ります。
そして「大東京帝国」である鉄雄側に寄る民衆や、ミヤコ様率いる「ミヤコ教」にすがる人々が描写されているのです。
これはごく単純に戦争後の混乱が描かれていると考えられます。
決してコロナパニックを描いたものではないと、個人的には理解しています。
ちなみに「大東京帝国」が提供する無償の食事には、能力を目覚めさせる薬が大量に盛られています…。
WHOの予言もあるらしい
これは劇場版ではなく、漫画版となります。
漫画版ではネオ東京がアキラの超能力によって破壊されます。
その破壊された土地に君臨するのが、鉄雄です。
鉄雄は「大東京帝国」を名乗り、アキラを利用して王になろうとします。
そのため、3巻ではその崩壊後のネオ東京を表すために新聞というアイテムを持ち出し、その見出しに「WHO、伝染病を懸念」などの文字が入っているわけです。
これは内線や他の国々の戦争であっても広まるもので、今回のコロナウィルス騒動を予言していたかとなると、根拠としては苦しいと個人的には思います。
アキラとは何だったのか?
アキラは政府の極秘プロジェクトによって開発された、ナンバーズと呼ばれる超能力者です。
ナンバーズには腕に番号の刻印が施されており、アキラはちょうど28番目の被検体でした。
1982年の「新型爆弾」は、アキラの超能力の暴走によるものです。
映画版ではその後、アキラは解剖され冷凍保存されたことになっています。
原作の場合がコールドスリープ状態で生きてはいるものの、感情を喪失しており、ただ力に反応するだけのヒトとして扱われています。
アキラは1982年の東京破壊と、2019年の鉄雄の暴走のため、2度東京を破壊したことになります。
こうして書くとすごいですが、見た目は8歳から9歳の子どもです。
それはキヨコやタカシといったナンバーズも同様と言えます。
「AKIRA」はなぜ28番目?の根拠は2月28日からなのか
これも同様に、狙っていたものではないと考えています。
噂の根拠となるのは、劇中の看板が「東京オリンピック開催まであと『147』日」、そしてその147日となるのが、2月28日となります。
2月28日は、新型コロナウィルスによる被害をWHOが「非常に高い」にランクアップした日ということもあり、予言ではないかと噂になったのです。
ナンバーズとは、日本政府によって極秘に進められていた、超能力開発プロジェクトです。
脳に電極を刺し、特殊な訓練と投薬を行うことで超能力に目覚める少年や少女が存在しました。
ちなみに「AKIRA」で登場するナンバーズは、以下の通りです。
- ミヤコ:19号 「ミヤコ教」教祖 ナンバーズ最高齢 アニメ版ではエキストラ役
- キヨコ:25号 未来予知が可能。的中率は95~98%
- タカシ:26号 鉄雄の前に現れた老人のような少年 原作では死亡する
- マサル:27号 車椅子に乗った少年
- アキラ:28号 東京を破壊する強い能力を持つ少年 劇場版では解剖済み
- 鉄雄:41号 タカシとの接触で超能力に目覚めた
アキラはキヨコたちの同期で、劇場版でも原作でも仲間としての友情を感じさせるシーンが存在します。
劇場版の場合は、キヨコ達の訴えでなければアキラは復活しなかったでしょう。
ミヤコ様は劇場版では一瞬しか登場しないキャラですが、原作ではメインキャラクターとして活躍します。
ナンバーズの中では最高齢で、能力も強い存在です。
鉄雄は偶然、タカシとの接触事故で超能力を得たことになります。
また、度を越した投薬と金田への羨望と嫉妬が、より彼を強くした部分もあります。
ナンバーズ25号から28号までは8歳から9歳の子どもです。
しかし、投薬実験などの結果、顔は年寄りのようにシワが刻まれています。
アキラだけは能力が段違いであるせいか、子どもの姿のままです。
ナンバーズは政府の開発した薬剤を摂取しなければ、死亡する運命にあります。
鉄雄のようにエネルギーの暴走や、肉体への負担が大きいためです。
このようにアキラだけは若干特別感は出ていますが、基本的には通常のナンバーズのように番号が振り当てられていた結果であることがわかります。
偶然ってすごいですね。
さらに言えば、作者の大友克洋氏は「AKIRAのネタ本は『鉄人28号』です」と明言しています。
そのため、28号という数字がキーとして扱われている可能性があります。
つまり、アキラの28は予言ではなく作者の趣向、と言えるのではないでしょうか。
感想【2020年だからこそ原作を読もう!現代漫画の原点!】
日本の漫画史で確実に歴史に残ると言われているのが大友克洋です。
彼の表現力はレベルが高く、現在では当たり前となった「顎部分が首に落とす陰影」などは彼が最初と言われています。
「電影少女」やアニメ「タイガー&バニー」のキャラデザイン桂正和先生は、非常に影響を受けており、陰影のつけ方などがよく似ている部分があります。
また、ビルなどの廃屋などの描写もすさまじく、「NARUTO」の岸本斉史先生もパースを参考にした等のエピソードがあります。
手塚治虫先生は、大友克洋に「僕も本気を出せば君のように描ける」と言ったという話があり、それほど実力があったことが知られている作家です。
「AKIRA」に話を絞っていえば、ネタとなる漫画は「鉄人28号」です。
これは大友克洋氏の画集「AKIRA CLUB」で書かれています。
「金田」少年と「島鉄雄」と言えば、納得できると思います。
でもまさかここまで話が飛躍するとは……。
大友克洋氏は同郷である石ノ森章太郎先生を非常に意識していた、と述べています。
劇場版「AKIRA」は10億円という値段をつぎ込んで制作されたアニメ映画です。
通常よりもセル枚数を増やして滑らかな動きを再現したり、珍しかったCGなども多用されています。
そのため、今でも通用するアニメ映画作品として親しまれています。
ただ、内容は一部グロテスクな表現を伴うため、地上波で放送される機会は少ないです…。
出来ればレンタルなどを見ることをおすすめします。
さらに原作については、全6巻ではありますが、単行本が恐ろしい大きさと厚みがあるので、持ち帰りなどには適していません。
取り寄せがおすすめです。
あと、女性が可愛くない!という話もあります。
それはもう、あきらめてください…w
可愛い子は、鉄雄の彼女カオリちゃんくらいです…。
それよりも超能力バトルと金田の運動神経の良さ!そしてバイクなどのかっこよさ!をまずは見てほしいです。