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十二国記『華胥の幽夢』のネタバレと感想について

【ネタバレ有】十二国記『華胥の幽夢(かしょのゆめ)』の感想や名言まとめ

本記事では、小説:十二国記『華胥の幽夢(かしょのゆめ)』の感想とあらすじ(ネタバレ)を紹介しています。

また、作中に登場する名言についてもまとめてみました。

 

十二国記初の短編集ですが、意外と重いストーリーが多いラインナップとなっています。

エレ子さん
全部で4つのストーリーを楽しめます!

 

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『華胥の幽夢』のあらすじ

華胥華朶(かしょかだ)。

それは采国(さいこく)の秘宝。

 

桃の花のような美しい枝で、枕元に置いて眠ると、理想の国が見えるという国宝です。

 

その宝を手にした采麟(さいりん)は病んでいました。

「失道の病」。王が正しき政治を行わず、麒麟が病に伏してしまうことを指します。

 

采麟を蝕む病は、間違いなくこの病でした。

しかし、才麟の王・砥尚(ししょう)は清廉潔白の強い王です。

 

周囲の官吏たちは慌てふためきますが、何が過ちなのかがわからず途方に暮れています。

 

一体、王の過ちとは何だったのか。

短編「華胥の幽夢」では、王の苦悩と、正しい政治の道を考えます。

 

さらに収録されているのは、

  • 驍宗(ぎょうそう)と幼い泰麒(たいき)の物語「冬栄」
  • 祥瓊(しょうけい)を追放し今後の芳国に悩む月渓(げっけい)を描く「乗月」
  • 景王・陽子と学生・楽俊との友情を描く「書簡」
  • 柳国(りゅうこく)の行く末を憂う尚隆と利広の未来「帰山」

 

短編集でありながらも重厚な内容の話が幕を開けます。

 

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ネタバレ・ストーリーの流れと結末について

ここでは、十二国記『華胥の幽夢』のストーリーの流れや結末についてネタバレを紹介しています。

 

泰麒と驍宗の絆、「冬栄」

驍宗即位から数か月後、泰麒は南国の島国「漣(れん)」国へと大使として訪問するよう、驍宗に命じられます。

 

漣国の王は鴨世卓(そうせいたく)。

世卓は元農夫で、改まる必要の少ない気軽な人物でした。

 

泰麒は彼の田畑の仕事を手伝いながら、「王を選定した自分のお役目は、もはや今の自分にはないのだろうか」という悩みを世卓に打ち明けます。

 

世卓は「王を見守るということ自体が大きな役割である」と泰麒に説いたのでした。

 

帰国した泰麒は驍宗に漣の話をし、改めて驍宗から「自分の性急さを留める泰麒であってほしい」と言われ、深く安堵したところで、物語は終わります。

 

芳国の祥瓊脱出後の逸話「乗月」

芳国(ほうこく)の王を弑逆した月渓のもとに、慶王から二通の手紙が届きます。

 

月渓は、自分は芳国の代表ではないと言い、自分が書簡を見るべきではないと慶王の使者を返そうとしました。

 

その時、使いの将軍・青辛(せいしん)は、手紙の中身は元・芳国公主の祥瓊からのものであることを明かします。

 

月渓が頑なに仮朝の座につかないのは、理由がありました。

前王・仲達(ちゅうたつ)は清廉潔白で「何よりも白い」王。月渓はそんな王を尊敬していました。

 

しかし民や部下は次第に王の政治を辛辣に批判するようになり、国は傾いていきます。

月渓は王を最も尊ぶため、他の者たちが王の批判をし、憎むことに耐えることが出来ませんでした。

 

「あれは民のためではなく、私怨だ」月渓はこれ以上、王のものを奪いたくないと青辛に打ち明けます。

 

夜が過ぎて書簡を呼んだ月渓は、祥瓊が大いに変化し、立派な女史となったことに安堵します。

 

「人は、変わることができる」

そしてついに、自分が芳の仮の王朝を建てる決意をしたのでした。

 

陽子と楽俊の友情「書簡」

慶国の陽子と、雁国の楽俊は互いに鳥を通わせ、日常生活の何気ない会話を行っています。

 

陽子も楽俊も、互いに「つつがなく暮らしている」と言いながら、それは相手を安心させるためで、本当は互いに悩みと苦悩を抱えていました。

 

互いに口にはせずとも、わかりあえるものがある。

互いを思い合い、陽子と楽俊の文通は続くのでした。

 

才国失道の果て「華胥の幽夢」

才国の麒麟・采麟は「失道」の病に伏せ、国王である砥尚とその側近たちの朱夏(しゅか)や栄祝(えいしゅく)は焦り始めていました。

 

砥尚は突如今まで以上に職務に没頭し、「私には未来が見えている」と自信を新たにして振る舞うようになり、朱夏は頭を抱えます。

 

ところがある日、砥尚の父親・大昌(だいしょう)の首が斬られ、馴行(じゅんこう)が行方不明となる事件が発生します。

 

謀叛の疑いのあった馴行と親交のあった朱夏と栄祝は、夫婦で蟄居(ちっきょ)の身となってしまいました。

 

朱夏と栄祝の下男、青喜(せいき)は次第に事件の真相を説き始めます。

 

兄に従う弟・馴行は、剣を持つことすらできません。

そんな弟は、兄にいつか手助けをしたい、助言をしたいと考えていました。

 

そこで思いついたのが、理想の国を見せる宝「華胥華朶」です。

馴行は華胥華朶を使い、「理想の国」を夢で見たのです。

 

そしてそれが、砥尚のいう「理想の国」と異なっていたことに気づいたのでしょう。

華胥華朶の秘密、それは「使う人間にとっての、理想の国を見せる」ことでした。

 

よって、砥尚の過った自信は高まり、それに意見した馴行はおそらくは砥尚によって殺害されたのではないか、と青喜は考えたのです。

 

さらに恐ろしいことに、朱夏は華胥華朶を馴行にすすめた人物が、自分の夫・栄祝であることを知っていました。

 

砥尚の失道は、栄祝によって引き起こされたのです。

全てを知った朱夏たちのもとに、砥尚死亡の知らせが舞い込みます。

 

遺言は「責難は成人ならず」。

つまり、他人を責めることは何かを成したことにはならないという意味でした。

 

翳りゆく柳国「帰山」

30年前も出会ったふたり、利広と風漢(ふうかん)。

 

ふたりは旅先でしばしば顔を合わせることがありました。

しかも必ず、「これから傾く国」で。

 

利広と風漢は、柳国がおそらく滅亡するという意見で一致します。

 

王は必ず倒れる。ふたりはこの運命を知っています。

そして互いの国の息災を祈り、別れるのでした。

 

利広は「奏」国に帰り、これから溢れるであろう難民の処置を宗王たちと話し合います。

 

そして利広は考えるのです。

「奏が滅びることは、どうしても私には想像出来ぬ」と。

 

『華胥の幽夢』に登場する名言を紹介

「民のために、というのは、おそらく私にとって言い訳に過ぎない。決意をさせたのは、憎みたくない相手を憎まねばならない苦しみだったよう思う。義憤ではない。私怨だ。だから、これは単なる罪であって、どんな美名に守られよう価値もない」(月渓)

「乗月」の月渓の告白です。

 

王を私怨から殺したという月渓の心情はここに描かれています。

だからこそ、自分が君主になるべきではないというのです。

 

この後、慶国の青辛(せいしん)や下男の話を聞き、祥瓊の書簡を通じて、月渓はようやく仮朝を担うこととなります。

 

 

「責難は成事にあらず」(砥尚)

「華胥の幽玄」の砥尚の遺言です。

砥尚とその配下たちの最大の過ちは、「前の王の批判しかしなかった」という点です。

 

減税をするにしても、道を整えるにしても、王の反対を行うだけでは政治の方針はバラバラになってしまいます。

 

そのことに気が付いたのは、皮肉なことに死ぬ寸前の砥尚だったのです。

 

 

「助け起こしてやるのは必要だが、相手が立ったら手は放してやらないとな。(中略)返しないようのないものは、天から降ってきたのと同じだよ。それに慣れさせてしまえば荒民にとって一番大切なものをくじくことになる」(宗王)

利広が帰宅したあとの、宗王の言葉です。

治世の長さの余裕を感じます。

 

利広は実は恭国の珠晶と出会い、官吏によって思うように身動きが出来ない彼女を支援したいと思っています。

 

加えて恭のとなり、柳はおそらく倒れるでしょう。難民の問題が恭を襲うことは必然です。

 

宗王は直接支援をするのではなく、あくまで間接的に柳の難民を助けるべきだと述べています。

 

民に永遠に施しを届けられる国はありません。

国難があれば、どこの国も自分の国でまず対処するのです。

 

そのための力は貸すべきですが、自分たちが率先して行うべきではないことを宗王は語っています。

 

『華胥の幽夢』の感想や見どころ

十二国本編の後日談が満載、お得ながらもテーマが重い短編集となっています。

 

「華胥の幽玄」は同人イベント出身?

イベント等で作者が本編以外の作品を公開していたところ、それらを集めて一冊の本が完成しました。

主に同人イベントなどで自ら配布していたとのことですから、当時は貴重は逸話だったことでしょう。

 

すでに本編は残る一作でしたから、ここに掲載されている話はほとんどが理解できるものです。

そういった意味でも非常にファンから愛されています。

 

驍宗と泰麒の登極後の逸話と、「漣」国の話を描く「冬栄」や、陽子と楽俊の「書簡」などは人気のある組合わせの幸せなエピソードです。

 

どちらも悩みやすい人物がひょんなことからヒントを得て、己の大義を果たそうとする爽やかな作品に仕上がっています。

 

「書簡」や「乗月」はNHKアニメ「十二国記」の転章の際に、アニメ化されています。

しかし内容はもちろん本作のほうが心情に重視が置かれており、わかりやすいものです。

 

短編でも容赦のない心の叫びを描く「乗月」

芳の国・月渓の「乗月」は、祥瓊の慶国出奔後の芳を描いたものです。

その内容は王を殺めた月渓が、何故王を討つに至ったかを丁寧に描いています。

 

相反する心と、役目の間で懊悩する姿を短編で描く作者の力量を、最も感じられるのは、月渓の告白部分でしょう。

 

月渓は表向きは「圧政に苦しむ民のために王を倒した」善の将軍です。

そのため、彼の周囲は月渓こそ仮の王朝に相応しいと考えています。

 

実際に陽子と祥瓊がしたためた書簡にも、「芳を代表する月渓」宛に書簡が届いているのです。

 

ところが月渓が告白したのは、意外な真実でした。

自分が王を殺したのは完全に私怨からである、というものです。

 

月渓は王を最も尊敬するあまり、王が他の者たちに貶められ、憎まれていくことに耐えることが出来ませんでした。

 

月渓は王・仲達が質素倹約を尊び、褒章にも硯を与えるほど真面目な君主であったことを回想しています。

 

これ以上憎まれる王を目にするのがつらい。月渓はそんな心から王を殺したのです。

それを知っているからこそ、月渓は芳の仮朝に就くことなど出来ない、と言うのでした。

 

私怨で王の命を奪い、王妃と麒麟さえ奪った。

これで王朝まで手に入れた日には、月渓は本物の簒奪者となる……。

 

単なる正義の味方ではなく、苦心した末の謀叛と王となる責が問われる逸話となっていますので、ぜひおすすめしたい一作です。

 

ミステリーとしても秀逸な「華胥の幽夢」

「華胥の幽夢」は采麟失道で始まる、つらい物語です。

しかも「誰が王の父と、王の弟を殺したのか」というミステリーを謎解く形に仕上がっています。

 

主人公は朱夏(しゅか)という女性の官吏で、夫の栄祝(えいしゅく)と共に才王・砥尚に仕えています。

 

砥尚は「北斗」という党を作り、政治について学び、王として立った君主。

非常に優秀で前途が期待されていたのです。

 

その王の王朝は、わずか20年で倒れることになります。

 

砥尚は采麟失道を聞き、あせっていました。

王の父、母、兄、弟。そして部下にあらゆる助言を求めたと言います。

 

政治の、才のあるべき姿とは?

迷った彼に、弟から「華胥華朶」が差し入れされました。

 

ここでキーとなるのは、「華胥華朶」は「使った者」に都合の良い国の夢を見せる、という性質です。

砥尚はゆえに、己の描いた理想の夢を再び目にして、自分は間違っていないと確信してしまいます。

 

こうして砥尚は、助言者である父と弟を殺害してしまう……という悲劇です。

これらの流れは全て、朱夏と下男・青喜の考えから帰結します。

 

ここで終わらないのが作者の恐ろしいところです。

通常であれば、この解決だけでも十分な出来栄えでしょう。

 

そこにもうひとつ、問題を投げかけるのです。

「砥尚の弟・馴行に華胥華朶を勧めた人物が、栄祝だった」という真実。

 

もし、栄祝が「華胥華朶」の本当の意味を知っていたとしたら、倒れそうな砥尚にとどめを刺す事になります。

 

結果、朱夏は栄祝に真実を問い詰め、栄祝が間接的に王の殺害に加担したことを知ります。

王が死に、さらに夫がその犯人という真実。

 

ここまで短編で(しかも少女向けレーベルだった作品)重圧をかけて良いのでしょうか?

 

最後はほんの少しだけ、希望を見せてくれる作品に仕上げています。

何故なら、砥尚の母として登場する慎思、彼女の尊称は「黄姑(こうこ)」であることが明かされているのです。

 

「黄姑」は海客・鈴が仙人のもとから脱走した際に、匿ってくれたあの才王の名。

幸い、采麟はまだ死んでいません。恐らく早い段階で、采麟は彼女を王にするでしょう。

 

しかし、砥尚の過ちを止めることの出来る臣下は、才には誰もいなかったことがつらい話となっています。

 

深く「十二国」知識を得たい人にはお勧めの短編集

「図南の翼」で登場した謎の放蕩息子・利広は実は延王・尚隆と顔見知りであることも最終話「帰山」で明かされています。

 

奏も雁も、長く続く王朝ですが、共通しているのは「他国の見分を欠かさない」ことです

しかも王じきじきに民の街へ降りることが大切なのでしょう。

 

奏の治世は実はかなり独自のもので、宗王である父を筆頭に、あらゆる物事を家族で決めるという方法がとられています。

 

后も、皇子も王妃も全員が奏の要職に就き、あらゆる面で父と国を支えているのです。

その異端児が利広と言えます。

 

利広は奏国の外を偵察し、定期的に情勢を伝えています。

今回は慶国の女王が勅令として「伏礼を廃す」とした話題もされていました

 

このように「横のつながりない」とされる十二国ですが、短編集では見知らぬ国の情勢やその後の陽子・楽俊などの様子がわかります。

 

これはファンにとってはとても楽しいボーナストラックと言えるでしょう。

その割には案外重厚すぎる話でお腹いっぱいになることは、覚悟してほしいです。

 

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